パラレル

33歳、男性、地方公務員、既婚、1歳と2歳の子供がいて、持ち家に住む。

両親ともに教員の家庭で不自由なく育つ。

中高学生時代は成績優秀、スポーツを好み、性格も安定していて、学生や教員からの人望もあった。

高校卒業後10代後半から認定難病を発症。治療を続けていた。

都内の大学卒業後地元で公務員となり、仕事を続けていた。

 

32歳のとき末期ガンであることが判明。発覚した時には複数の臓器に転移しており、手の施しようがない、と言われていた。それまでの検査では見つからなかった特殊な症状だった。

 

望みをかけて抗がん剤治療を開始したが、症状は悪化、半年で中止。その後は進行を見ながら療養していた。

 

33歳、家族との旅行先で倒れ救急搬送。2度の緊急手術の後、担当医師から余命1カ月と伝えられる。

 共通の知り合いから重症の事実を伝えられ、見舞いに行く。

 

もうあとはその時が来るのを待つだけだ、と病床で語っていた。

 

その後、術後の容体が安定し、旅行先で搬送された病院から、自宅近くの病院へ転院。終末期治療へ入る。

 

彼が余命を告げられた時期からそろそろ1カ月が過ぎようとしている。

 

深夜、伸びた手の爪を切りながら、ふと彼の人生を思った。